DV62siやZ701-Modena BHBSminiの記事でご紹介した通り、 僕が仕事部屋で使っているメインスピーカーはINOUEのフルレンジ。 知る人ぞ知るKIスピーカーというやつである。
音楽コラムの「BLUE LADY」の回に登場する電器店の主人というのが、 僕の学生時代のオーディオの師匠こと、みづほオーディオの社長さん。 コラムの中で“後ろにあった大型のフルレンジ”と書かれているのが、 師匠が手本にしていた、井上デンキのKIスピーカーだった。
学生には身分不相応だと売ってもらえなかったKIスピーカーを、 (その時聴いた16cmではなく10cmモデルではあったけど) 10年ほど前に、ようやくヤフオクで手に入れた。

これも横置きで、しかも雑なセッティングであいすません。 オーディオルームではなくあくまで仕事部屋なので…。
より正確かつ高速に前後に振動させるために、 軽さと強度を両立したオリジナル設計の樹脂製リブ付きユニット。 背面の雑音を抑えつつ、クリアな低音をダクトへ送り出すように、 エンクロージャーの内側には木炭がびっしりと貼ってあるそうだ。 ユニット前面のリングは、エッジから漏れる雑音を抑えるためのもので、 この裏側にも木炭チップが貼ってある。
当時は感動したけど、今聴いてもちゃんといい音なんだろうかと 半信半疑で入手したのだけど、ちゃんといい音だった。 師匠には悪いけど、みづほオーディオのスピーカーとは別格。 フラットで、生々しくて、装飾や雑味のない、実在感のある音。 大型スピーカーのような重低音はさすがに出ないけど、 10cm一発とは思えない生々しい低音を響かせてくれる。
そんなふうに感じてずっと愛用してきたのだけど、 自分の感覚が正しいのかどうかは半信半疑なままだった。 今回DV62siを購入したのは、それを確かめるためでもあった。 結果、やっぱりいいスピーカーなのだと確信できた。
能率は公称86dBで、DV62siほどの音圧はない。 PRO CABLEさんの言う“「ボロい」スピーカー”の仲間だ。 音が端正すぎて迫力が足りないというご意見もあるだろうと思う。 でも、こんなにも真面目に原音再現にこだわったスピーカーは、 他にないのではないかと思う。
INOUE KIスピーカーは今はもう作られていない。 井上デンキさんのサイトもずいぶん前に閉鎖されてしまった。 また製造再開される日が来てくれないかな。無理だろうなー…。

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